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雪村司は本が大好きなごくごく普通の小学5年生。
そんな彼女が既に廃れたと思われていた古びた本屋を見つける。
興味本位で立ち寄ってみるが……

小学生女子+オカルト+微エロみたいな作品です。
 私の名前は雪村司。
 とある私立学校に通う初等部の5年生だ。
 勉強や運動が特別出来るわけでもないし、背が高かったり、胸が大きかったり、スタイルがいいわけでも無い。
  いや、胸に関してはブラの着用もまだなのでその正反対の位置にいると言うべきだろう。
 そんな取り立てて目立つことのない私の身に起こったある出来事を話したいと思う。


「ねーねー、司ちゃん、これから空いてる?」

  帰りの会が終わり、帰り支度をしていた私に1人の少女が声をかけてきた。
 見上げる程の上背と腰まで伸びた綺麗な黒髪が特徴的な彼女は威圧感のある見た目とは裏腹に、人懐こい笑顔と明るい性格でクラスの人気者だった。

「えっと……ちょっと用事が……」

 クラスメイト同士の会話は別におかしなことではないが日陰者の私と人気者の女の子、あまり接点が見出せない相手の誘いに少しばかり身構えてしまう。

「えー、用事あるの……じゃあ仕方ないね……」

 言葉では納得したような事を言っていても、表情は正直だ。
 目は口ほどに物を言うという諺があるが、今の彼女にぴったりの言葉だ。

「あの……何か用ですか?」

 用事があるのは本当だし、付き合わされるのが嫌で嘘をついているわけではない。
 気に病むことなど何一つ無いはずなのに、何故か私は聞かなくていいことを聞いていた。

「いや、それがさー、司ちゃんさ、リリウムって本知ってる?」

「あ、はい……名前くらいは……」

「昨日最新号が発売してるらしいんだけど、どこにもおいてなくてさー。キミって本とかたくさん読んでるからどこか扱ってそうなとこ知らないかなぁって思って聞いてみたんだよー」

 彼女言う、リリウムとは小中学生の間で話題の本の名前だ。
 有名な漫画家が名を連ねている、発行部数が限りなく少なくて激レアなど、話のネタは数多いが、一番の話題はその中身にあった。
 購読対象年齢を逸脱した描写や誌面コラム、読者からの投稿により構築される性に関するQ&Aコーナーと言った過激な内容が退屈な日々に飽いていた少女達にとって、背徳の象徴となっている。
 しかし、これはあくまでクラスの中で広まっている『噂』であり、実際に現物を見た人は私を含め、周りにはいない。
 いつ広まったのか、どこの誰が発信源なのかわからないにもかかわらず、内容だけが明確な形を成し、一人歩きしている状態だった。

「ごめんなさい……私の読んでる本って図書室とか図書館で借りてるのがほとんどで……売ってる本のことはあんまり……」

「そっかー、ボク読んだことないから、中身が気になってたんだ。変なこと聞いてゴメンね、今度何かオススメの本とか教えてね♪」

 楽しげな笑顔を置き土産に、彼女は教室のドア付近に立つ友人の元へ駆けていった。



 放課後、私は学校の最寄り駅から数駅離れた場所にいた。
 母親が忘れた物を届ける用事も無事に終わり、あとは来た道を辿って電車に乗るだけだ。

(帰ったら、図書館に本を返しに行かないと。あ、あと予約してる本戻ってるかな……)

 帰宅後の予定を頭の中で巡らせるだけで、気持ちは弾み、自然と歩みは進んでいく。

「あれ……」

 駅まであとわずかというところで、視界の端に映り込んだものに足を止めた。
 ビルとビルの間に無理矢理押し込んだようなこじんまりとした店舗と濃緑色の大きな日よけ、店先に統一感なく並べられた色とりどりの冊子とそれを手に取り眺める人々。
 それはネット販売の隆盛で今ではすっかり消え失せた個人書店という代物だった。
 レトロというか古臭いというか、インターネットや図書館の資料でしか見たことのないものに、私の思考はタイムスリップしたような錯覚にとらわれる。

「これって昔の本屋さん……だよね?さっきは通ったときはなかったような……」

 少し前の記憶を探り、言葉に乗せてみるが問いに答えてくれる人などいない。
 同時に、私の中でこの店に対する興味が湧き上がり、好奇心と疑心のせめぎ合いが始まった。

(何かボロそうだし、変なとこだったらどうしよ……でも、お店のとこに大人の人もいるし………)

 ブツブツと道の隅で独り言を呟く小学生がどう思われたかは定かではないが、私の脳内会議は着々と進行してる。

(………よし!迷ったら、行くべきだよね!!)

 短い葛藤の末、好奇心側に軍配が上がった私は鼻息も荒く意気込むと店へと向かった。

「いらっしゃいませー」

 入り口をくぐるとリズミカルな電子音と共に、店員さんの挨拶が迎えてくれる。
 声のした位置から察するに小さな外観に反して、中はかなりの奥行きがあるらしい。
 棚には新書だけではなく、汚れや手垢のついた読み古されたものがぎちぎちに詰まっている。
 むしろ、古い本のほうが多いくらいで古びた紙の匂いが漂う薄暗い店内は私の知る大型の本屋とはまるで違う。

「あら、小学生のお客さんとは珍しいわね」

 両手で本の山を抱えた女の人が声をかけてきた。
 灰色のエプロンとロングヘアーをアップにした髪型は仕事をしやすくするための工夫だろうか。雑誌モデルと比べてもなんら引けを取らない整った顔立ちは同性の私でも見惚れてしまう程にキレイだ。

「お嬢ちゃん、お家のお使い?」

「あの……私、お嬢ちゃんなんて歳じゃないんですけどっ!!」

 出会い頭の店員さんからの失礼な発言に私は思わず頬を膨らませてムッとする。
 確かに同学年の中で身長は前の方だし、身体だって育っていないが、お嬢ちゃんなんて言われるほど幼くないはずだ。

「冗談よ、冗談。それで何探してるの?新書、古書?それとも洋書かしら?」

「えっ……あ………その………」

 茶化した直後の真面目な質問に私は言葉を詰まらせた。
 まさか、店構えがボロそうで興味があったからなんて、お店の人に言えるわけがない。
 かと言って、左右に拡がる棚を盗み見てるが、小学生には理解出来そうにないものばかりだ。

「えっと………あの………」

「ん?」

 慌てふためく私に店員さんは顔を近づけ、不思議なものでも見るような目で覗き込んでくる。
 夜の闇を思わせる吸い込まれそうな黒い色の瞳と半歩踏み出せば互いの身体がぶつかりそうな距離に私の小さな心臓は鼓動を早めていく。

「あの……あのっ……リリアムって雑誌っ……ありますか……!?」

 パニック状態の私の頭がはじき出したのは、少し前にクラスメイトから聞いた本の名前だった。
 声に出して改めてバカなことを言ったと思う。
 よりによって、存在すら怪しい雑誌の名前を口にしたのだから。

「うん、置いてるわよ」

「……………え」

 店員のお姉さんの思いもよらない答えに私はただ呆けることしか出来なかった。

第二話に続く
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2014.08.29 Fri l 私と古書店とナイショのお勉強 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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